月経トラブル
無月経
女性に月経が初来しない場合を無月経といいます。
多くの場合は妊娠あるいは加齢による閉経でしょう。
これらは生理的なものです。
しかし、成熟期の女性であるにも関わらず
(一般的には18歳以上)月経が一度も初来しない(初潮がない)
時には原発性無月経といい、
これまであった月経が3ヶ月以上の期間にわたって次の月経が停止した時には続発性無月経といいます。
こういった無月経の原因はさまざまです。
精神的なストレスや急激な体重の変化も原因ですが婦人科的には子宮、卵巣、脳(下垂体や視床下部)に異常がないかを調べます。
方法は十分な問診、内診、超音波検査と必要であればホルモン検査やホルモン剤による負荷試験です。
治療は直ちに妊娠を希望するか否かで違います。
ピルなどの服用で単に月経様の出血を誘発することはそんなに難しいことではありませんが、まれに子宮に大きな病気がある時などは月経の誘発が困難な時があります。
不正性器出血・月経不順
不正性器出血について
不正性器出血を定義するのは容易ではありません。
不順な生理と区別できないこともあります。患者様がおかしいと思ったら受診されることをお勧めします。
不正性器出血のほとんどは大事にいたりませんが、なかには重要な病気が隠れていることもあります。不正性器出血の原因で一番に怖いものはがんでしょう。
他に良性の腫瘍(ポリープ、子宮筋腫など)、ホルモンのバランスの乱れや性病などが原因になることがあります。
きちんと産婦人科を受診されることをお勧めします。
不正性器出血について
月経の悩みで一番多いとされている生理不順は、生理の周期や期間に乱れがあることをいいます。
基本的に25~38日周期であれば正常とされていますが、1週間くらいズレがある場合もほとんどは問題はありません。
原因はさまざまです。その中でもよくきかれるものとしてはホルモンバランスの乱れが挙げられます。
月経という生理現象は卵胞ホルモン、黄体ホルモンという女性ホルモンでコントロールされています。
脳の視床下部、脳下垂体、そして卵巣という3つの器官が連携をとってホルモンを分泌し、月経が促されています。
上記した3つの器官のうちのいずれかで異常が発生することで、ホルモンの分泌量が一定でなくなり、月経が止まる、周期が乱れるといった生理不順が起こるのです。中でも視床下部は精神的なストレスに影響されやすい器官であり、学校や仕事、家庭での心配事などでもホルモンの分泌量が乱れてしまうことがあります。
また、激しい運動、無理なダイエットなども、生理不順の原因となり、さまざまな種類があります。
稀発月経
周期が39日以上の月経を「稀発(きはつ)月経」と呼びます。それまで平均的な長さだった周期が急に長くなったり、徐々に長くなったり、また以前の周期に戻ったりと、その症状の現れ方はまちまちです。
卵巣機能が十分に働かず、ホルモン分泌量が乱されていることが原因ではないかと言われています。
中には、体質的に卵胞の成長に時間がかかる(周期が長い)人もいらっしゃいます。その場合には、周期ごとに大きな変動がなければ、それほど心配する必要はありません。
稀発月経でも、排卵が確認できれば妊娠・出産は可能です。ただし、無排卵周期の場合もありますので、妊娠を希望されている方、将来的に考えている方は、ホルモンバランス排卵の有無をお調べしますので、当クリニックにご相談ください。
頻発月経
稀発月経と逆の症状が現れるのが、月経周期24日以下の「頻発月経」です。周期が24日以下になると、中には1か月の間に生理が2回くる方もおられます。
原因は、卵巣機能の働きが不十分であること、ホルモン分泌量の乱れだと言われています。
過長月経
期間が8日以上続く月経を、「過長月経」と呼びます。視床下部、脳下垂体、卵巣などに異常が発生して無排卵周期になっている、黄体ホルモンの分泌が不十分で黄体機能不全に陥っている、といったことが考えられます。
過短月経
過長月経と逆の症状が現れるのが、月経が2日以内で終わってしまう「過短月経」です。経血量が異常に少ない「過少月経」を併発することが多いと言われています。
女性ホルモンの分泌量の不十分、子宮内膜が厚くならない、子宮の発育不全といった原因が考えられます。
月経痛・低容量ピルの処方
月経痛について
月経痛とは月経の開始から痛みとそれに伴う頭痛、悪心、嘔気などが始まり月経の終了とともにそれらの症状が消失するものをいいます。
月経困難症ともいいますが、大きく分けて機能性と器質性に分けられます。
機能性は特に婦人科的には病的な異常なく鎮痛薬などで痛みを適切に除いてあげることでよくなることがほとんどです。
器質性はバックグランドに子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣腫瘍や骨盤内の炎症の基礎疾患があるために月経時に痛みがあります。
痛みに対しては鎮痛薬で落ち着くことも多いですが、バックグランドの病気を治していかないと痛みを十分に除けないこともあります。その場合は適切な診察と検査が必要だと思います。
現在使われているピルはほとんどが、低用量ピルで不必要に副作用を怖がらなくていいと思います。
ただ、初期には吐き気や気分不良が生じたりや、血栓症の因果関係から喫煙者、高血圧などのリスクファクターの評価が必要です。
ピルは大きく分けて次の通りにに大別されます。
(1)避妊用ピル
(2)治療用ピル
避妊用ピル
排卵抑制、精子が子宮に入りづらくなる、受精卵が着床しづらくなるといった機序で避妊効果を有します。
ピルの服用にあたってはきちんとした問診で喫煙歴、高血圧、婦人科や乳房疾患の有無、血栓症の既往歴など複数の項目に対して問診票に記入していただきます。
1日1回のピルの服用で100%近い避妊効果がありますが最初の服用周期の1ヶ月は効果が安定しないこともありコンドームなどを併用するバックアップをお勧めしています。
毎月規則正しく月経がきます。
月経の量は少なくなります。
妊娠を希望するときはピルの服用を中止すればすぐに正常の排卵周期に戻りますので妊娠の可能性を取り戻すことになります。
緊急避妊
緊急避妊は、あらかじめ避妊をしなかった、あるいは避妊に失敗してしまったなど妊娠を望まない性行為を行ってしまった場合に妊娠を防止する方法です。
緊急避妊にはノルレボ錠のジェネリックである『レボノルゲストレル錠 1.5mg』を使用しています。
保険外診療のため、料金は8,800円(税込)(薬代、診療代含む)となります。
※緊急避妊は性行為後72時間以内の服用が必要となります。
お早めにご相談ください。
治療用ピル
ピルは月経困難症(月経痛)、過多月経(月経量が多い)、月経前緊張症(PMS)などの症状緩和や月経不順の改善効果があります。
また、長期に服用することで子宮体がんや卵巣がんの予防効果も報告されています。
ピルはとても安全な薬です。ピルの服用で種々の症状を改善して、生活のQOLを高めて快適な日常生活を送りませんか?